ベース用ラインセレクターを自作したお話
去年暮れに某オクで買ったアップライトベースと、以前から持ってるエレクトリックベースをステージ中に簡単に切り替えたいというニーズが僕にありまして。 それならABYボックスや2ch入力に対応したプリアンプを買えばいいのですが、
- 練習時、音を出しながらペダルチューナーでピッチを確認したい
- プリアンプやコンプをかけっぱなしで使う想定なので、できればそれら用のエフェクトループが欲しい
- 持ち替えの際にノイズが漏れないようにミュートできるようにしたい
という要望もあり、ここまでくると2ch入力できるスイッチャーを探した方がお手軽なんですね。 でも、そもそも2ch入力のスイッチャーは選択肢がほとんどなく、高い上に嵩張るのでできれば避けたい。 あとループもまずは1ループあればいい。 ということで、一旦自分がどんなものが欲しいのかを書き出してみることにしました。
これを書いたところで何故かふと「これは、ちょっと頑張れば自分で作れるのではないか」と思ってしまい、そこからはもう一気に製作モードに。 大急ぎで自作エフェクター関連のサイトを読み漁り、必要そうなパーツを買い集めてきました。 まずは3PDTスイッチの扱い方から覚え、3PDTスイッチとLチカを連動させ、そこから更にA/Bスイッチができるようにし、と徐々にできることが増えていった。
ただ、一つ想定外だったことがあって、僕の上述のスケッチではA/B切り替えのあと、チューナー向けにパラレル出力するというものだったんだけど、 いざその回路を組んで試してみたら、パッシブのベースの音量が明らかに落ちたんですね。 まあ、それは当たり前で、パッシブベースはそもそも電流の量が少ないんだから、パラレル出力で更にその電流が分割されてしまったらボリュームが落ちるのはあたり前。 ということで、急遽バッファ回路を用意し、パッシブのベースはバッファを通して出力することに。
バッファ回路はほぼここのサイトに載ってるものを使わせてもらいました。 ただ、いざこの回路を通してみたところ、思ったより低音がスカスカになっていて結構ショック。他のサイトや本で調べた結果、前段のコンデンサの容量を1μF(サイトに載ってるものの10倍)にしたことで、まあそこそこな感じになりました。もうちょっとコンデンサの種類は買い揃えて、いろいろ聴き比べた上で決めてもよかったかもしれない。
ケースの穴あけは本当にギリギリまで後ろに引き伸ばし、もうあとは出来上がった回路をケースに取り付けるだけ、みたいなところまできてからようやく着手。 ただ実際は、各種ジャックを取り付けてから長すぎたコードを全部切ってほどほどの大きさに直したり、フットスイッチで無駄な取り付け方になってるのを修正したりで、結局かなりの箇所は作り直しました。
そんなこんなでおおよそ半月ちょいかけて、ようやく自分専用の自作ラインセレクター(+バッファ+チューナー用パラレルアウト+1ループ+ミュートスイッチ)が完成しました。
これはマスキングテープの上からマジックで書いただけだけど、これはこれでちょっとロックっぽい雰囲気あって好き。 ただ、その後ラベルライターが届いたので、
を使って貼り付けました。で、冒頭の写真に至る。
今回一番衝撃だった学びはバッファ回路前段のコンデンサについて。 how toの載ってるサイトではなかなか「なぜ低音部を通すのにコンデンサの容量を上げる必要があるか」ということはなかなか書いてなかったけど、
この本がKindle Unlimitedになっていたので早速入手して読み進めたところ、P220に「容量性リアクタンス」という言葉と共に「Xc = 1/2πfC」の記述が。
これを読んで一気にこの部分の理解が進みました。
本来ならこうした電気回路の基礎知識を学んだ上で作れ、って話なのは承知してるんですが、僕の性分は「パッション重要。熱が冷めないレベルでひたすら手を動かしてまずは物を作って、そのあと理論で肉付けする」というものなので、今回はこの進め方でよかったと思ってます。